サイプレスVol.98
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3.人工知能について  最近人工知能が急速に進化し、囲碁や将棋の世界でも名人を人工知能が破るというニュースが取り上げられていますが、コンピュータ自身が人間のようにものを考えることが可能な時代が始まりつつあります。  IT技術の進化はIT主導により新たな産業革命を生み、我々の生活・社会・経済の大転換がまもなくやってくるものと思われます。  そしてすべての産業が人工知能を中核に、相互に関係性を持ちながら同時多発的かつ革命的に変化していく時代、すなわち第4次産業革命の到来とも言われています。  またロボットが人間に代わり、単に事務処理を代替するだけでなくかなりの分野の知的労働にも参入することになると思われます。  あらゆる分野で人手不足が大きな課題である日本にとって人工知能の活用は、新たな成長戦略を生み出すエンジンになることは間違いありません。  国も国家戦略の中でロボットや人工知能を今後推進すると位置付けております。  その結果、2030年頃には現在の仕事の49%がコンピュータにとって代わると言われています。  知識集約型業務が現実的にどこまでコンピュータに代わるか、いささか疑問もありますが、銀行業務がわずか数十年でそろばんと加算機からATMやネットに置き換わったがごとく、加えて事例で紹介したように金融マーケティングや信用リスク管理が金融工学を駆使して実用化されたように、ITは我々の常識を超えるスピードで進化していると考えられます。  こうした進化は人間にとって便利という、快適で豊かな生活環境を提供してくれることになります。  そして近い将来、今以上に賢く便利な世界が待ち受けているかと期待します。 しかし一方で、幸福で豊かさの裏に、人間が過去に経験したことにない、未知の影が潜んでいるように感じてなりません。 それが、2045年問題、シンギュラリティと呼ばれている、コンピュータの知性が人間を超える世界が、現実になると言われています。ホーキング博士も、「人工知能の進化は、人類の終焉を意味する」とまでおっしゃっています。 2045年には、人工知能が自ら、自分自身を向上させる能力を身に着け、その進化の速度は指数関数的なスピードであると言われており、一次関数的にしか進化できない人間に勝ち目はなく、何十年か後に「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だったが、同時に「最後の出来事」になってしまうのではないかと言われております。 つまり倫理観を持たない人工知能搭載のコンピュータが、自らの意思で動き、時に人間を支配することが理論的には可能となるとの予測です。 人間がこの世の中で最も優秀かどうか分かりませんが、少なくとも倫理観を持った極めてバランスのとれた生物であることは確かです。 一方で人工知能は目的を達成するために、目的を必10vol. 98

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