サイプレスVol.98
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 労働人口は総人口の減少に伴い、2030年までに1200万人減少すると言われています。その1/3が65歳以上です。 当然自然体では国民総生産は大きく減少し、現在の生活を維持することも厳しくなる時代がやってきます。これをカバーすべく、あらゆる手を打っていかねばなりません。女性の活躍の場の拡大や高齢者の活用などは人的供給を増やす重要な施策ですが、ITの活用もとても重要です。ITは人間が行っている労働集約的な仕事のみならず、知的労働、例えば医者や公認会計士、弁護士などの仕事もITにとって代わる時代がくることは、今のIT技術の進化のスピードを考えると確実にやってきます。近い将来IT人材は確実に枯渇します。(左図)IT開発ニーズはあっても、開発要員の不足により開発力が追い付かず、開発を海外で行うオフショア開発が主流を占める懸念もあります。そうならないためにもIT技術者の計画的な育成を行い、国内で能力を発揮していただく仕組みを作らなければなりません。その大きな力が働き方改革であると考えています。2.銀行におけるコンピュータの活用事例 コンピュータは合理化・効率化手段から、知的手段に進化しています。【埼玉りそな銀行の事例】  埼玉県の人口は730万人ですが、毎日数十万人のお客様のお金の出し入れや振込・税金支払いやカード決済などの業務が銀行内で処理されています。  その膨大な事務処理を正確かつ迅速に行うためには、コンピュータは極めて重要な基本インフラであり、今やお客様の生活の中まで銀行業務そのものが深く浸透しています。例えばコンビニATMやインターネットバンキングなどは、いつでもどこでも銀行取引が可能な仮想銀行店舗の役割を果たしています。  ちなみにATM1台が銀行員1名分の事務処理を行うと言われているので、埼玉県内3000店のコンビニATMは3000人分の行員に匹敵する仕事を担っているということになります。  こうした銀行におけるシステムは、単なる事務処理の合理化や正確性の追求に止まらず、金融工学を駆使してマーケティングや信用リスク分析、ディーリング業務などに広く活用されています。  例えば膨大なお客様のお取引情報から、今、住宅ローンをお考えなのか投資信託の購入を希望されているか等、それぞれのお客様の金融ニーズを統計的に導き出し、そのサービスをタイムリーにお客様にご提供することでお取引の拡大を図っています。  こうした顧客動向推測がコンピュータのデータベースで検索することで可能となりますが、それを更に進化させコンピュータ自身が過去の傾向や画像認識により、統計分析のみならず人間が行う判断まで行うことが可能となります。vol. 989

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