サイプレス Vol.90
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報家電も揃っている彼らの人生には、技術の進歩による大きな変化は今までは無かったかもしれない。しかしこれからの50年、彼らは、今は想像出来ない程の大きな変革を体験するだろう。【技術はどのように変化したか?】・コンピュータの進化1930年代のアランチューリングの暗号解析マシンから端を発し、電子計算機は急速な進化を遂げてきた。1980年代には、パーソナルコンピュータとして一般化し、その計算処理性能、表示性能、記憶性能、データ転送性能は、急速な進化を遂げた。1996年に自動車会社で用いられた3億円のスーパーコンピュータの性能は、2004年に発売された3万円のゲームマシンとほぼ同性能だった。今、誰もが使っているスマホは、そのゲームマシンのほぼ100倍の性能を持っている。・人工知能の現出10年以内に人工知能は、今ある職業を47%無くしてしまうというレポートをオックスフォードの研究者がレポートしている。時間を労働代価に置き換える人間社会の仕組みは、人工知能による自動化と効率化によって破綻すると言っても過言ではない。この変革の中で、人間は、新しいルールと新しい価値観を創造しなくてはならない。2016年2月、囲碁の世界チャンピオンがGoogleの人工知能Alphagoに負けた。芸術的な絵を描くことも、人と会話を行うことも、およそ人間的と思われてきた事象を人工知能はこなしてしまっている。何をもって人の能力の価値とするかを、考えなくてはならない時期はもう目の前にある。・自動運転自動運転は暮らしに何をもたらすだろうか?-運転免許は必要なくなる。-交通事故は起きない。-車のための道路、駐車場は今よりも狭くても良い。-必要な時に、携帯端末で必要な場所に車を呼ぶことができる。-自家用車の概念が変化する。(移動する部屋というものも考えられる。)・芸術・エンターテインメント映像、音楽、パフォーマンスに関わる芸術、エンターテインメントの表現方法、視聴方法が変化する。3次元映像、ハイレゾ音源、プロジェクション、拡張現実:AR(AugmentedReality)、仮想現実:VR(VirtualReality)、複合現実:MR(MixedReality)は、人間の五感に新たな感動を提供するようになる。「まとめ」マイクロソフトCEOのSatyraNadella氏が、2016年6月に行った講演で、人間が人工知能と共存するためのルールについて語った。その中で最も重要なのは、“人工知能の判断は、人間に責任がある。”という考え方である。社会に適合した技術の在り方が問われるのは、いつの時代でも変わらない。人間は創造力を失ってはならない。技術はその創造力を増大、拡大する可能性を無限に有している。21世紀中に、医療技術の発達によって、人間は死ななくなるかもしれない。その時に、人間社会は次の社会ルールを生み出さなくてはならなくなる。人生の価値観そのものが変わる可能性がある。平和とは何か?幸福とは何か?生きる意味は何を示すのか?人類の資産とは何なのか?これらの本質的な人間の課題について、一度、考えてみて欲しい。12vol.90

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