2.画像検査におけるAI27ネットワーク、デバイス、ユーザーの状況を常に把握し、より安全なネットワークシステムへ活用する。 ゼロトラストの考え方でセキュリティを実現することは様々な技術・サービスの導入とその管理を必要とするが、それを一貫したセキュリティポリシーで便利で安全に企業ITを利用できるようにしたサービスがSASEである。SASEを導入することで、利用者は特別な知識や手間を必要とせず、システム管理者も比較的容易な管理で安全な企業ネットワークを実現できるようになる。 SASEは今後普及していくと思われる。ただ、それで高度なセキュリティ環境を実現しても、人間の軽率な行為、悪意によるセキュリティ事故は完全に防ぐことはできない。企業におけるセキュリティルールは遵守することは大前提である。 近年のAIの発展により使えるAIが開花した。最近では生成AIのブームとなっており、先月の人工知能関係の展示会などではほぼChatGPT関連の展示一色になっていた。 画像検査におけるAIの実務について述べる。AIの理論や手法自体は難しいものだが、実務ではAI技術以外の工夫・技術が重要になってくる。画像検査でのAI導入では、検査対象・内容・課題などをヒアリングし、PoC(概念実証)を重ね検証・評価することが重要である。AIに過度な期待を持ちAIを導入することが目的になってしまったり、データ(質と量)が揃わない、導入後の保守を想定していない、という状況では決してうまくいかない。AI画像検査に限った話ではないが、このように進め方というのは大変重要である。 AI画像検査における、技術的な工夫も、AI技術以外のものが多い。 ①AIの適用範囲 AIがベストとは限らない。ルールベースの方が良好な場合も。 ②入力の見直し 入力の仕方・工夫。ここで6割が決まる。 ③前処理による改善 AI処理の効率を上げるために、データ内の必要でない情報を削除してデータ量を減らしたり、特徴を強調したり、データを加工して水増しなどをする。 ④モデルの選択 これはAIの知識がある程度必要。 ⑤分析とフィードバック 良い結果を出すための様々な手法。 実務において、顧客の現場で結果を出すことの難しさがある。それを克服するためには、色々な知識と経験、そして顧客とのコミュニケーションを大事にして状況・ニーズを把握するということが重要である。失敗をしながらも様々な工夫をすることで成功すれば達成感を感じることができ、自分の技術が現場で利以上用される満足感も得られるのである。
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