サイプレスNo.117
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24ジョブ型雇用は定着するかまさに神様みたいな人材ですが、時間はかかるかも知れませんが社内の人材育成と外からのスカウトも含め、DXに携わるハイエンドの人材を揃えることができるかがベンダー企業にとりこれまで以上に重要になると思います。【③開発型からコンサルティング型へ】 従来はお客様から業務フローをどうしたいかなど1からヒアリングをし、ゼロから手探りでソフトウェアを開発するケースが多かったです。私の会社でも売り上げの25%前後がソフトウェア開発です。 今後は特に先ほど申し上げた「守りのIT」については既存のパッケージ商品を採用したり、業界によっては共通のプラットフォームに乗ることでカバーする動きが増えて行くものと思います。 クライアント企業が稼ぐ力を高めるための助言などのコンサルテーション力や商品サービスへの目利き力を高める、コーディネートして提案する能力などがこれまで以上に重要になるものと思います。 一般的には企業が人を採用する際に職務内容を明確に定義し雇用契約を結び、労働時間ではなく、職務や役割で評価する。職務内容を職務定義書、ジョブディスクリプションで具体的に特定し、その遂行に相応しいスキルや実務経験のある人を採用して行こうというものです。元々欧米取り分けアメリカでは一般的な採用方法です。 日本でも富士通や日立製作所などで採用されて、注目されました。一方、以下の疑問点もあると思います。【①日本の法人の99.7%は中小企業】 日本は法人の99.7%が中小企業です。これは事業所数での割合ですが、雇用者数でも7割が中小企業に勤務しています。 中小企業の経営者からすると、余程専門性の高い業務は別にして、私はこれしかやりませんと従業員に言われても困惑すると思います。従業員の単能化ではなく多能化で会社を繰り回す。一人の従業員が幾つかの部門の業務を掛け持ちできるようにして組織を運営しているのが実情だと思います。 二刀流ではありませんが一人三役四役の世界です。 大企業では導入できても、日本企業の太宗を占める中小企業に馴染むのだろうかということです。【②自分のキャリアを若いうちから「決め打ち」することは良いことか?】 企業に入ってから、社会に出てから気付いていなかった、あるいは想定していなかった自分の特性や強みを発見することは良くあります。20代前半で下した選択のみが人生の選択肢だと思い込むのはどうなのか。 結果として気付いていない自分の可能性を殺してしまうこともあるのかも知れません。 20歳の時にIT人材として頑張ろうと思っていた人が企業人になってから会計学の面白さに目覚め経理財務のプロを目指すといったこともあると思います。 これも今よく耳にするリスキリングという言葉も同じ文脈で考えられるのではないでしょうか。 因みに私は我が社の若い人には良く学び続ける大切さを伝え、重要なのは学歴ではなく、学習歴だと話しています。過去の「学歴」ではなく現在進行形の「学習歴」が大事、今何を学んでいるかが大事だと言うことです。【③そのジョブがなくなったらどうする?】 欧米企業だとレイオフ(一時解雇)が出来ます。解雇された人は自分のスキルを活かせる企業を探せばよいわけです。 それだけ労働市場の流動化が進んでいるわけです。日本でも転職市場が拡大し、転職支援会社も増え、従業員の再就職の選択機会は広がりました。 一方で企業サイドからいうと今の日本の労働法制ではジョブがなくなったことを理由に解雇しますとはできません。配置転換できないかなど検討しなければならない。言い方を変えると労働者、正規雇用の労働者は手厚く保護されています。 結局、今話題のジョブ型雇用制度は大企業を中心にして、日本の硬直的な労働法制を前提にした、日本型のジョブ型雇用になるのではと思います。欧米型のジョブ型雇用とは似て非なるものになると思います。

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