23ベンダー企業経営者として今考えていること【①DXの本質は内製化】 DXと言う時に重要なのはデジタルなのかトランスフォーメーションなのかと考えると、私は後者が重要である、トランスフォーメーションが重要であると考えます。 単なる業務効率の向上ではなく、ビジネスモデルを再定義し、稼ぐ力を高めるためにデジタル技術を如何に適応させてゆくのかということであります。そう考えると、自社の業務に精通し、将来のビジネスプランも描ける人がシステムを手掛けることがベストです。 近年ローコード開発やノーコード開発という言葉も聞かれたことがあると思います。 SEのような専門的な知見が無くても、極論すれば素人でも簡単にプログラミングできる、そんなサービスが広がりつつあります。プロの出番が少なくなってゆく。そんな時代になるかも知れません。 繰り返しますが、今起こっていることは、システムのアウトソースを進めた1990年代の揺り戻しでもあり、DXの本質は内製化であると思います。【②求められるIT人材が変わる】 業務の効率化や省力化に資するシステムの構築であれば、ある意味納期を確りと守り、正確に間違いなくシステムを作り込んでゆくことに重きを置かれましたが、これからはそれに加えてクライアントのビジネスモデルの変革のお手伝いをしなければなりません。 これまでの資質に加えて、ITの最新の知見を持ちつつ、ビジネスモデルや経営そのものを語ることが出来るか、アドバイスが出来るかまで兼ね備えねばなりません。 狭義のデジタルトランスフォーメーションに携わる人材はそこまでのレベルが求められると思います。への対応が起点、起爆剤となって、言わば背中を押される形で止むに已まれずDXが進む、変化が始まったということかと思います。 テレワークやオンライン会議システムなどの業務環境のオンライン化、ペーパーレスやRPAなどの業務プロセスのデジタル化、ECサイトやチャットポッドなどの非対面営業の拡充などです。 少し不謹慎ではありますが、今から10年前にコロナ禍に見舞われていたら、経済を回すという意味では本当に打つ手が無かった、お手上げだっただろうということであります。 当時はスマートフォンが今ほど普及していなかったし、オンライン会議システムもエレクトリックコマースも今ほど一般的ではありませんでした。 自分たちがこれまで使いこなせてはいなかったが、ある程度のレベルの簡便なITインフラが整っているタイミングでのコロナ禍の襲来でした。コロナが日本社会のDX化の背中を押したことは間違いないものと思います。【DXレポート2.2の公表(2022年)】 2022年7月にDXレポート2.2が示されました。 レポート発出当初から4年が経過し、コロナ禍の教訓などもあり、DXに取り組む企業は着実に増えていると評価はしています。 DX推進指標による自己診断結果の提出状況を定量的に見ると自己診断に取り組んでいる企業は増加しており、先行している企業の割合も増加し続けています。また同診断を毎年提出している企業は年々着実にスコアを伸ばしていることなどからDX推進の取組みは着実に進んでいます。 一方でIT投資の内訳を見ますと、依然として既存ビジネスの維持・運営に8割近く割かれている状況は変わっておらず、既存ビジネスの効率化のための投資が中心になっています。 企業の成長に向けた投資に振り向けられていないことが窺がえます。 DXへの取組みを通じ単なる業務の効率化ではなく、新たなサービスの創造・革新に振り向けられねばならないと理解している企業は7割に上りますが、実際に成果がでている、新たなサービスの創造・革新に結び付けることが出来ていると応えた企業は1割にも満たない状況です。
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