サイプレスNo.114
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2022年5月27日 企業からみた情報についてのはなし講師:渡邊 泰博氏(パシフィックシステム㈱)1.仕事と「情報」(仕事における「情報」の取扱注意事項) 現在は、インターネットの発達とコンテンツの充実により、自分が欲しい情報へのアクセスが容易になっています。半面、正しい情報・怪しい情報が混在して溢れ、「情報」に振り回されてしまう時代とも言えるでしょう。「情報」の「入手」「活用」「提供」には細心の注意が必要です。特に「提供」については、誤った情報を相手に与えないように、  ・情報の誤り、嘘   →複数情報から判断 但し発信源が同じでないことを見極めること  ・誤解の誘導(誇張グラフ、説明不足・巧妙な記述、相関関係と因果関係の混同)   →例えば、3Dグラフの錯覚や縦軸横軸のスケールに注意  ・バイアス(偏り)   →サンプリング調査には必ずバイアスがある!という意識を持つことといった点に注意し、企業として正しい情報の評価と責任ある情報の発信を心掛けなければなりません。2.セキュリティについて ①ゼロトラストセキュリティ3.AIの仕事について(画像検査分野でのAI応用の実際) 近年のAIの発展により使えるAIが開花し、今は第3次AIブームの真っ最中です。国内AIビジネス市場は年々増加し、AIは企業にとっての重要なツールとして位置づけられています。 世間で「AI」と呼ばれるものには、単純アルゴリズム的なレベルの手法から近年発展した深層学習レベルの手法まで様々なレベルがあります。企業の取り組みとしては、「AI搭載」という宣伝効果を狙って比較的容易なレベルを利用する場合もありますが、AIの能力に期待し画期的な取組みを行っている企業も多くありま 新型コロナのパンデミックにより在宅勤務などテレワークが一気に普及しました。従来は会社内から社内ネットワークを経由して社内のコンピューターに接続する場合が多く、セキュリティは企業内で手厚く対策しておけば十分であるという考え方が大半だったと言えるでしょう。テレワーク(社外からの接続)やクラウドサービス等の社外サービスに接続することが普通になり、また社内も巧妙なサイバー攻撃などにより安全と言い切れない状況になってきたことから、最近では企業ネットワークに信頼する場所はない=「ゼロトラスト」という考え方でセキュリティを設計・構築する企業が増えてきています。 スマートフォンは、漏洩リスクのあるインターネット環境に晒されながら個人情報の取扱いやお金の決済などを行うために、高度なセキュリティ技術・手法が発展してきています。企業における「ゼロトラスト」対応もその技術が活かされています。②サプライチェーンのセキュリティリスク 「鎖の強さは最も弱い輪によって決まる」(英哲学者トマス・リード)と言われるようにサプライチェーンの弱い所をサイバー攻撃され大きな被害が出る事案が増えてきました。サプライチェーンは大小様々な企業がネットワークでつながっています。小規模会社でも他企業に被害が及ばないように適切な対策は必要です。 調査によれば、企業における情報漏洩では、サイバー攻撃よりもミスや故意など人為的な原因の方が多いという結果が出ています。企業においては情報の取扱いルールの設定と徹底が大変重要であり、社会人としてそのルールを守ることが大きなセキュリティ事故を防ぐこととなります。6

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