サイプレスNo.110
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【第三章】職業 現在企業が採用したいのは価値創造型の人材である。こういう人は今どの企業でも採用したい筈だ。これまでの工業中心社会では課題解決型(上意下達)が多数であったが、ポスト工業化社会では求める人物像が大きく変化している。第四次産業革命とも言う。今後の社会活動はITありきとなるので、スキルは必須。この背景からもIT業界の需要は旺盛を維持すると思われ、この業界でキャリアを積む事は有望である。またエンジニアは単にソースコードを書くのではなく、先の価値を理解した上で創造力を働かせる事が重要となる。スキルを付ける事はキャリアプランの形成には最適であり多様な働き方が広まりつつある今は実力次第では、充実したライフワークが実現するのではないだろうか。【第四章】世界の動向 ITの世界情勢はどうだろうか。 全世界で一早く提唱したのが、ドイツの国家プロジェクト「Industry 4.0」第四次産業革命という。現在は欧州全土に広がり、特に北欧はIT化が進んでいる事で知られる。Skype創業の地で有名なエストニアでは実に行政サービス、民間サービスの95%が完全オンラインで生活を支えている。世界からの見学者が絶えない。シリコンバレーを有するIT先進国の米国はどうか。もちろん世界一のプライドを掛け「IIC」という大規模プロジェクトを進めている。しかし、この国は世界的スタートアップが雨後の筍の如く生まれる土壌があるので、あえてこのような取り組みは不要かもしれない。そして今注視すべきは中国である。「MADE IN CHINA 2025」は現政権が打ち出している重要戦略で「世界の製造の中心を中国に」という大構想を示している。AI、5G、量子コンピュータ、工作機械、ロボット、航空宇宙、新エネルギーなどの最先端分野が含まれるが、ある分野では米国に肉薄し、特許数では追い抜くなど政治力、経済力を背景にしたスピードは米国にとって脅威となっている。さて、わが日本にも内閣府が主導する「Society 5.0」というものが存在する。残念だが盛り上がりを実感しない。マイナンバー制や行政サービスなどの利用は低く、「課題先進国」と揶揄されている。私がこの職業についた時から米国とは常に10年以上の開きがあると言われているが、現在はそれ以上か。やっと腰を上げて新設されるデジタル庁には期待したいところだ。アジア諸国(新興国)のIT化はこの数年で想像以上に進んでおり、日本と遜色ないまでに育っている。何れにせよ日本との違いは「スピード」である。これから社会に出る皆様にはIT分野で日本の存在感を世界に示すのに一役買っていただきたいと願う。【まとめ】 IT産業の未来は明るく社会を支えるやりがいのある職業で違いない。希望を抱いてこの業界に飛び込んできてほしい。何れにせよこれからの社会にITスキルは必須なので、もし他業界を選択した場合であっても勉強を怠らぬように。最後に、至らぬ点も多くあったが本講義が少しでもお役に立てれば幸いに思う。終わり大企業のみならず中小企業においても経営の必須条件となり、IT 人材の重要性が非常に高まっている。一言にITと言っても範囲は広く、機械設計などからスーパーのような店舗まで様々な職種が存在する。ここで紹介するのは一例なので、自身で調べてみて興味を引くものがあれば深堀してはどうか。技術的動向、予測は米国のガードナー社がテクノロジのハイプサイクルを毎年公表している。私も参考にしているもので参照するとよいと思う(日本語版あり)。また一年単独ではなく数年分を並べて見比べるとよりその動向が分かり易い。12

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