サイプレスNo.106
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育」 が人材育成上不可欠であると思います。その結果、自立的な自己実現意識の高まりや有能な個性の結実が図られることになると確信します。しかしながら、そのためには、組織としての寛容さや許容が前提となりますので、 実際の運営はなかなか難しいと思いますが、 これからの時代を踏まえると一考に値するテーマではないかと考えます。3番目は、H型人材の育成です。 様々な情報や知識を身につけることは極めて重要なことですが、ネットの普及拡大などにより情報爆発の時代と言われるように、情報量が無限に増大しています。 こうした時代に必要なものとして 「トランザクティブ・メモリー (対人交流的記憶などと訳されますが理解しやすい日本語訳はありません)」があります。 トランザクティブ・メモリーは米国の社会心理学者ダニエル・ ウェグナーが提唱した組織学習に関する概念で 、組織全体で膨大な情報を共有することより、例えば、〇〇さんは××の技術に詳しいなど、「誰が何を知っているか」 の情報を組織(個々)で共有し、活用することの重要性を説いたものです。そのために必要な人材として「H型」人材育成、すなわち、「H」の横棒の「-」により人と人をつなげる能力が重要性であると言われています。 これからの多様性が求められる時代では、好奇心を持って自分とは異なる領域にいる方々とも積極的にコミュニケーションをとり、その知識を引き出し・活用する能力が求められます。 ネット社会に生きる今の社員は、真のコミュニケーション能力に乏しいと言われていますが、部門、会社の枠を超えて、人と人をつなげる様々な社内外の機会を意識して作り、多様な結びつきのネットワークを好む 「H型」 人材の育成に取り組んでいただきたいと考えます。人材確保が増々厳しくなる環境下においては、自社の社員の潜在能力を顕在化させ、経営者が標榜する組織の未来像を実現する重要な担い手に育成していくことが、よい一層求められていくものと考えます。最後に、僭越ながら、渋沢栄一翁の2つの名言をご紹介します。「人はすべて自主独立すべきである。自立の精神は人への思いやりと共に人生の根本をなすものである」「世の人が元気をなくしており、社会の発展を停滞させている。今までの延長線で地道に生きることより、さらに大きな希望を持って挑戦することが重要である」コロナに負けず、明日に向かって 頑張りましょう。6vol. 106

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