サイプレスNo.104
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なかなか既存のイメージしかないと思いますが、具体的に「くぬぎの森」のような形でメッセージを発信していただくのは、若い人には非常に説得力・訴求力があるものだと思います。石坂社長 「くぬぎの森」については、里山の崩壊という問題に対してお手伝いすることにより新しい付加価値を付け、またそれを環境教育というフィールドにして年間5千人くらいの子供たちに来てもらい、その生物多様性や資源循環などについて学んでもらう体験型の教育として使っていただいています。ただ、そのような取り組みをビジネスにつなげるのは凄く難しくて、社会性をボランティアにせずビジネス系に変えていく、持続型にするにはいったいどうすれば良いのだろうということを、自分たちだけで考えるのではなく、来られるお客様にも考えさせる。考えさせるというと言い方は悪いですが、教える・育てるではなく、共に育むという考え方で教育といっているのです。工場見学と合わせ年間4万人の方が来場されるのですが、果たして持続可能な社会というところに廃棄物問題はどうなのだろうか、生物多様性という問題はどう関わってくるのだろうかと問いかけ、自分事にしてもらいながら、発信された意見は我々も吸収していくのです。一方で、子供たちには感想文を書いてもらっています。どの子も共通して、自分の五感で触れたものしか書いていない。座学で説明したことを書いている子は一人もいないのです。自分で感じたことしか経験として残していけないわけですから、どんどん経験させ、感性を磨かせ、思考破壊できる人に育って欲しい。会社も、今までのやり方で良いと思い込んでいるだけの人ばかりでは変われないじゃないですか。石井会長 そうですね。また、多様な人材を活かすことも重要ですね。「あいつ変わっているね」を潰すのではなくて、変わっているということは何か良いところがあるのだろうという目線で見てあげると、その人の強みがどんどん出てきて、それが企業にとっても力になっていくのだと思います。石坂社長 本当にそう思います。イスラエルの人と話した時に、「学校教育の中で答えがない」と言うのです。答えがないことを解かせるのが宿題、それって凄いなと思います。答えを導くプロセスは一つではなく、さらにその答えは多様なのだということを教えるための教育をしているというのは、やはり天才を生む一つのきっかけだと思います。石井会長 日本では2+3はいくつですかと言うと、5ですと。5が正解なのですが、仮にゴールが5だとすると、0+5でも1+4でもいいのですよね。やはり色々な思考回路を持っていないと、とにかく一律的にやるというのは、教育としては、暗い時代の教育の名残が少し残っているのかなと思ってしまいます。 最後に、石坂社長は業界でリーダーシップを発揮されていますが、先頭を走るというのはアゲインストの風を受けて一番大変だと思います。しかし、是非これからも今のように先頭を走り続けていただいて、埼玉県、いや日本を代表する企業に発展していただきたいなと期待しています。14vol. 104

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