サイプレスNo.104
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れない。そういう反省は、会社経営の中で感じているところです。ただ、共通項の意識としてお話ししたいのは、人には個性があり、それぞれが良いところもあれば弱点もあります。企業としては良いところは活かしていき、弱点は強化する、或いは他の人が埋めていくといった形で、ブロック塀ではなくお城の石垣型の人材を、経営者としてはそれを活用していく必要があります。人材の活用という意味で、御社のような業種ではバリエーションに富んだ人材が多くいるように思いますが、その辺のご苦労や基本的な考え方を教えてください。石坂社長 バリエーションに富んだ人材が多いことは確かです。下は二十歳前から上は70台後半までが同じ組織内にいて、経験値も違うし、中途採用者も大勢いますので、考え方や価値観が違うわけです。だからこそ、最初に基礎となる「我々はどこに向かいたいのか」という、会社自体のあり方というか原点に戻る必要があります。今の廃棄物処理を単に繰り返すだけではなく、最終的にこの全ての廃棄物がサーキュラーエコノミーの循環型経済に組み込まれていくなら、我々は世の中にエネルギーを供給するビジネスに変わっていくのだと、社員にずっと伝え続けています。そうするとエネルギー供給ビジネスに変わっていくためには、どんな技術的配慮をしなければならないのか、どんな人材を採用していかなければならないのか、ということを話していく中で、今のままではいけないことに気づきます。働く人たちは目の前を見ることで精一杯で、その中で悩んだりもがいたりしているわけで、なかなか先を見ることができない。そこで、会社が向かう方向を分かり易く可視化してあげ、自分がどんな働き方ができるのかを常に意識共有することが大事なのです。一言で言うと、フィロソフィーをちゃんと共有できているか、私自身はそこだけに力を入れてきました。あとは一部の社員が気づいて歩き出したところを見て、周りが少しずつそれに気づき、感化され、付いていく。進んでいく道が見えてきていることが、働いている人にとってユニークというか面白いという感覚があるようで、だからこそ楽しく仕事ができるのだろうと思います。目の前のことしか見えない会社と、先が見えていてこれからどのように展開していくのかを示すことができる会社との仕事の違いはそこにあるのかな、と思っています。石井会長 総論賛成、各論になるとなかなか動けないというのが残念ながら社員の中には多いわけで、ゴールのイメージ、或いは目指すものを石坂社長のようにメッセージとして、社内だけではなく社外も含めて、社外を通してブーメランのように自分の会社の人たちに伝わっていく、そのようなことを繰り返すことによって社員の心の中にしっかり根付いていく。それが、ロールモデルとして、2人が4人になり、8人になるというのがあるのだろうなと、今の話を聞いていて感じたところです。もう一つ、最近意外だなと思ったのは、今の若い人たちの企業選択は、社会貢献や社会性、自分が社会の中でどういった立ち位置でしっかりしたものを築けるのかといったところに意識が高いのだなと思いました。アメリカでナイキがその靴を買うと古い靴はアフリカに贈るといったマーケティングをしたところ、爆発的に売れたと。そういったことに貢献しているのだという意識が、今の若い人には意外とあるように思います。産廃業という形で今だけを若い人にぶつけても、vol. 10413

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