サイプレスVol.103
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富士通マレーシア 訪問報告1.日 時  2019年11月13日㈬ 午前9時~10時15分2.訪問地  富士通マレーシア(クアラルンプール)、市街地から45分のIT集積拠点3.訪問目的  ア 国情・国民性・政治・経済情勢など  イ IT事情並びに雇用状況  ウ ビジネス展開並びに今後の発展性  エ 隣国シンガポールとマレーシアとの関係性  オ その他4.富士通からの説明   富士通アジアリージョンは、従業員12千人、拠点はシンガポール(ヘッドクオーター)・マレーシア・ベトナム・タイ・フィリピン・インドネシア・(ミャンマー支店)の7か所。   富士通マレーシアは、1997年に開設し、ペナンに拠点を有しているが、クアラルンプールは、アジアの中核拠点で、データセンター・開発部門・サポートデスクがあり、従業員113名(内日本人4名)で運営している。政情は安定しており、拠点運営も堅調に推移している。   顧客は、パナソニック・キャノンなどの大手日系企業と現地企業で構成されており、その売り上げ割合は約50%・50%くらいである。現地企業の特徴は、製造業が多いが、最近は流通業の顧客も増加している。   主なシステムサービスは、システムプラットフォーム・データセンター(自前でなく間借り)、クラウドサービス・サポートデスクである。   技術者は、マレー人が中心であり、水準も徐々に向上しているが、人材の流動化が著しく、概ね、3年くらいでベンチャー企業などに転職していく。人材活用も、そうした流動化を前提としており、その傾向がさらに拡大していくものと推察している。   賃金水準は、日本に比べ低いが、毎年上昇しており、今後、人件費抑制を念頭に置いたマレーシアでの開発は、その優位性が低下する懸念を持っている。   マレーシアで優秀といわれる人材は、給与水準がはるかに優位なシンガポールや米国などに流出しており、富士通だけの問題に止まらず、優秀な人材の国内回帰を図ることが、今後のマレーシア国発展の課題になっていくものと思っている。   前首相が汚職で失脚し、マハティール首相(93歳)が復活したが、国には前政権の腐敗排除のために公共事業を一斉に止め、内容を精査している最中であり、公共関係の受注が大きく減少している。   首都クアラルンプールは、急速な勢いで開発が進み、先進国入りを目指しているが、政治事情・政策実行力・国民の人材の質や就業意欲などは、まだ途上にあり、中華系マレー人が主導権を握っている。加えて、石油などの天然資源に恵まれ、元来、第一次産業に従属して発展してきた歴史があり、そうした依存体質から脱却するには、まだ時間がかかると思っている。   そうした諸事情もあり、ここ数年、マレーシアに進出する日本企業は増加していない。vol.10329

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