サイプレスVol.102
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 2045年には人工知能が自ら自分自身を向上させる能力を身に着け、その進化の速度は指数関数的なスピードであると言われており、一次関数的にしか進化できない人間に勝ち目はなく、何十年か後に「人工知能の発明は人類史上最大の出来事」だったが、同時に「最後の出来事」になってしまうのではないか、と言われております。 つまり倫理観を持たない人工知能搭載のコンピュータが、自らの意思で動き、時に人間を支配することが、理論的には可能になるとの予測です。 人間がこの世の中で最も優秀かどうか分かりませんが、少なくとも倫理観を持った、極めてバランスのとれた生物であることは確かです。 一方で人工知能は、目的を達成するために目的を必ず達成できる最強の手段を選択するのではないでしょうか。 なぜならば目的を達成するために、最も合理的だからです。そこには生物的な中庸な価値観はないと思います。 極端な例として申し上げるなら、戦争に勝つためには合理的な戦闘手段として核のボタンも押すかもしれません。 したがってIT技術の進展と同時並行的に、政治や経済、教育などあらゆる分野において、ITの多様な活用を前提に置いた倫理観の醸成とともに、法制度改革を積極的に進めていくことが急務である考えます。 そして人工知能が世界を制覇する前に、「人間が人間らしさ」をもう一度考え直すことが重要であると思います。 銀行の仕事についても、数千万人の顧客を抱える巨大な銀行が、人間の手で制御されたコンピュータにより運営されてきた過去現在から、将来はコンピュータに操られた世界となり、世の中のお金の流れをコンピュータが変える時代が到来しないとは言えません。 コンピュータが手段やツールから、人間とイコールパートナーとなり、やがてこれに飽き足らず人間を凌駕する時代を絶対に作らない高い倫理観を持って、将来に亘ってコンピュータと共存していただくことを若い皆さんにお願いしたいと思います。7.企業が期待する社員像 折角の機会ですので、ここで当社が求める人材像についてお話します。 IT会社ですのでIT技術に長けていることに加え、5点ほどあげさせていただきます。 まず1点目は、変化を好む人材です。IT会社は、上手いって当たり前の世界ですので、どうしても保守的に物事を考え変化に対し臆病になる傾向があります。 しかし、安定は世の中の変化に鈍感になり、変化に気が付かない「ゆでガエル状態」になってしまうことを認識して、業界の急速な環境変化に対応しなければ企業は生きていけません。 変化はチャンスであり、リスクをとって変化に挑戦するスタンスで仕事に取り組んだ結果、仮に1勝14敗であっても挑戦した意義は大きく、次につながると1勝であったかを重視したいと思っています。 2点目は信念を持って行動できる人材です。 皆さんはピンと来ないかもしれませんが、どこの組織でも多かれ少なかれ「組織の空気」があります。忖度があります。vol. 10211

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