サイプレスVol.102
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3.AIを活用した近未来社会 その変遷を図示しましたが、人類の歴史は狩猟社会から始まり、人工知能が社会の隅々まで普及拡大し、ネットワークであらゆる社会がつながり、業務の自動化やそこから得られるデータにより更なる付加価値情報を我々に提供する超スマート社会が訪れようとしています。4.ITと人間の共存 その現状と未来の姿を就業構造で表現してみました。皆さんはこの右側の世界でこれから生きていくわけです。 まずAIやロボットを活用して新たなビジネスを創出し、市場を拡大している分野、きっと皆さんはこの分野を目指すことになるでしょう。 そして、AIやロボットに全て代替される仕事への人間の役割はなくなります。 このような未来を頭に置きながら、現実の銀行におけるIT活用の変遷をご紹介します。5.銀行におけるIT活用の変遷 銀行は膨大なお客様の取引データを処理していますが、銀行業務が急速に拡大し、人間の手ではとても処理しきれない時代が50年前にやってきました。 そこで事務のスピード化を目的に、業務処理を他業種に比べ、いち早くIT化を図りました。その後、銀行業務の進化と共にIT活用も拡大し、今やATMで業務処理を行うのは当たり前、スマホで銀行と取引を行うことが一般的となっています。これもITの進化の成果であります。5‐1.銀行におけるIT活用戦略 具体的にお示しした方が分かりやすいと思いますので、埼玉りそな銀行の事例をご紹介します。 埼玉県の人口は約730万人ですが、埼玉りそな銀行の総口座数はそれに匹敵する数であります。その約5%程度の35万口座くらいが、毎日お金の出し入れや振込・税金支払いやカード決済などの業務で、銀行内で処理されています。 その膨大な事務処理を正確かつ迅速に行うためには、ITは極めて重要なインフラであり、今やお客様の生活の中まで24時間365日銀行業務そのものが深く浸透しています。 例えばコンビニATMやインターネットバンキングなどは、いつでもどこでも銀行取引が可能な仮想銀行店舗の役割を果たしています。 ちなみに、ATM1台が銀行員1名分の事務処理を行うと言われていますので、埼玉県内3000店のコンビニATMは、3000人分の行員に匹敵する仕事を担っていることになります。5‐2.銀行におけるIT活用事例(マーケティング分野) このような銀行におけるシステムは、単なる事務処理の合理化や正確性の追求に止まらず、金融工学を駆使してマーケティングや信用リスク分析、ディーリング業務などに広く活用されています。 少し横道にそれますが、ウォルマートが、1990年代後半に「おむつとビール」と言うマーケティング手法を開発しました。vol. 1029

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