サイプレスVol.102
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 2019年5月31日 「銀行におけるコンピュータ活用の変遷」-IT技術の進化への対応講師:石井 進会長 はじめに ここ数年、IT技術の進化は目覚ましく、技術的にはそう遠くない将来、その思考能力が人間を超える可能性が叫ばれています。 本日は、銀行におけるIT活用についてご紹介させていただきますが、加えて将来のコンピュータの在り方に対して、その光と影について私なりに感じていることを交えお話させていただきます。 その前に、今年の年始に感じたことを少しご紹介させていただきます。元旦の日経新聞に未来のITの姿がかなり踏み込んで掲載されていました。 内容は人工知能が普及拡大し、我々の生活が豊かになるとともに、人間の生命維持までIT技術が制御できる時代になっていくとの論調でありました。 また同じく年初から、あのトヨタが俳優の香川照之氏を起用し「トヨタイズム」なるビジョンを掲げ、「すべての人に移動する楽しさを提供するモビリティーカンパニーになる」、「未来をどこまで楽しくできるか」、との問いを発信していますが、これもITの進化の中で未来の自動車の在り方をトヨタ自身が危機感を持って考えていることを発信していると感じております。 このように平成が終わり令和の始まりと共に、ITの進化が我々の様々な環境を大きく変えるIT新時代が始まっていると思っています。 本日の講義の内容は、激しい環境変化の中で進化したIT技術を活用した銀行戦略についてご説明させていただきます。 後半は人間と人工知能の関わりを紹介し、そのような将来認識の下で皆さんが将来社会人になるにあたり、企業経営者として期待する人材像を紹介させていただきます。1.社会環境の変化 まず我国の労働環境について考えてみましょう。 労働人口は総人口の減少に伴い、2030年までに1000万人、2040年までに2000万人近く減少すると言われています。 当然自然体では国民総生産は大きく減少し、国力を低下させ現在の生活を維持することも厳しくなる時代がやってきます。 我々今を生きる日本国民としては、これをカバーすべくあらゆる手を打っていかねばなりません。 女性の活躍の場の拡大や高齢者の活用、働き方改革などは、人的労働力強化のための重要な施策ですが、ここで私が皆さんにお伝えしたいのはITの活用です。2.IT進化の現状と今後 ITの進化により現状を100とするなら、約50%はITでカバーできると言われております。日本での2030年までに約1000万人分の仕事がITに置き換わり、雇用が維持される職業は技術職や専門職、あるいは芸術分野などの知的創造性などの高い業務に集約されていきます。 このような変化への対応が必要な時代が到来しつつあります。その変化を第4次産業革命と呼んでいます。8vol. 102

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