サイプレス Vol.83
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ベトナムについては、若い労働力(就労人口の平均年齢は26歳)と安価な労働力、勤勉な性格など、未だ発展途上であるが故に、今後に飛躍的な発展の可能性を秘めていることを強調していました。実際、オフショア開発では中国、インド、韓国についで4位にランクされています。また、ベトナム政府がソフトウェアを含むIT産業の振興に本格的に乗り出したこともあり、ベトナムのソフトウェア市場は毎年2ケタの伸びを続けています。◇企業訪問について1)富士通AsiaConferenceASOCIOICTSUMMIT2014へ参加する前に埼情協から参加した我々一行はホテルに着くやいなや早速、富士通AsiaConferenceに参加しました。交通事情もあり後半しか聞くことができませんでしたが、経済評論家で首相調査委員会アドバイザーを含む政府要職を経験したPhamChiLan氏の、ベトナム経済状況と今後の方向性、そして日本への期待について講演を拝聴しました。ビジュアルな資料を通してベトナムのIT事情、成長戦略、日本との関わり、グローバル化等、短時間ではありましたが、内容の濃い講演であり、非常に満足しています。また、富士通からは震災復興に携わった濱田氏より、社会課題に対する実践事例を拝聴しました。ちなみにベトナムでは地震はほとんど発生しないそうです。カンファレンス終了後は懇親会にも出席させて頂き、富士通ベトナムの方々と現地の状況など貴重なお話を伺うことができたうえ、埼情協メンバーの多くが、抽選会に当選するなど幸先のよい遠征で始まりました。2)AIT(AureleInformationTechnologyInc.)とSmartnet社AIT社は三谷産業(株)の100%であり2001年3月にホーチミンシティに設立されています。「ベトナムで日本品質を!」をモットーに、ベトナムオフショア開発13年の実績があります。一方Smartnet社は設立まだ3年の若い会社でAIT社が日本企業による設立に対して、同社はベトナム人が起業した、やはり日本向けのオフショア開発を主とする会社です。両社に共通して言える点は、どちらも名門大学を卒業したとても優秀な人材が開発に従事しているということ。そのような優秀な人材の人件費が日本の4分の1~半額以下あること。国民性なのか皆、礼儀正しいこと。実際に両社とも訪問した際は全員が起立して挨拶していただきました。何か普段にない新鮮なものを感じました。◇視察について1)ハノイハノイはベトナムの首都でありホーチミンが経済の都市に対して、政治と文化の都市と言われています。訪問したホー・チ・ミン廟はフランス統治時代の建造物もあり、ベトナムとは想像がつかない様式(洋風)の建屋や家具などもあり、市内でもところどころで見受けられます。ハノイでは他に、一柱寺、タンロン遺跡などを見学しました。2)ハロン湾少し足を延ばしてハロン湾を見学しました。世界遺産にも登録されているハロン湾の大小3,000もの奇岩、島々が存在して、その景色は壮大でした。時間の関係で最も短いコースを船で回遊しましたが、長いものでは3日間のコースがあるそうです。また、ハロン湾近郊は新しく空港ができる計画であり、人口ビーチを作るなど、これからはリゾートとしても発展させ、一層の観光客が訪れることになるでしょう。ハロン湾クルーズにつきものの鍾乳洞見学では、思ったより中は広く人工的なライトアップもあり綺麗に演出されていましたが、意外にもなまぬるく、あまり涼しさを感じない鍾乳洞でした。3)ホーチミンホーチミンでの観光はスケジュール的にあまり時間がとれなかったため、帰国する日に市内を見学する程度でしたが、統一会堂や戦争証跡博物館、サイゴン中央郵便局と大聖堂、ベトナム歴史博物館、ベンタイン市場などを足早に回りました。特に印象に残ったのは戦争証跡博物館であり、ベトナム戦争の悲惨さを痛烈に感じました。ベトナム戦争の犠牲者は行方不明者を含めると8百万人を超えると言われています。博物館には戦争中の生々しい写真が展示されていますが、思わず足を止めて見入ってしまうようなものが数多くあり、フレームの中の世界は「地獄の黙示録」と重ねてしまいます。東南アジアの経済成長性については、新聞・雑誌などで多く取り上げられていますが、今回はベトナムというまさに過渡期にある国を訪問でき、グローバル化の欠片だけでも実感することができ、貴重な経験になりました。最後になりますが、参加されたメンバーの方々おかげで、充実した時間を過ごすことができました。皆様には心よりお礼を申し上げます。有難うございました。35vol.83

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